ムージルの〈遙かな愛〉の精神史的系譜
ムージルの〈遙かな愛〉の精神史的系譜
批准号:
20K00469
负责人:
大川 勇
金额:
$2.75万
依托单位:
依托单位国家:
日本
项目类别:
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
财政年份:
2020
资助国家:
日本
项目状态:
已结题
起止时间:
2020-04-01 至 2024-03-31
中文摘要
本研究は、従来近親相姦モティーフを軸に論じられてきたムージルの『特性のない男』研究に新たな視点を導入し、トルバドゥールに由来する〈遙かな愛〉の視点から『特性のない男』における愛の問題を解明しようとするものである。具体的には、(1)遺稿部の第二巻第39章から第52章までを文献学的手法で成立順に考察し、そこに兄妹愛における「脱性愛」と呼びうる現象が見いだせるかどうかを検討する。(2)『特性のない男』の〈遙かな愛〉をヨーロッパにおける〈遙かな愛〉の精神史的系譜に位置づけることによって、ムージルの愛の観念の独自性を析出する。(1)については、兄妹愛における「脱性愛」現象の発掘という当初の目論見を修正する必要に迫られつつある。遺稿部第45章に兄妹の濃密な肉体的接触はあるものの、これまで私は兄妹愛を性愛に収斂していくものではないと解釈してきたが、第二巻を読み直す過程で、第10章以降ウルリッヒに対するアガーテの肉体的接近が頻繁に見られることから、それが兄妹愛を性愛の方向に導いていく可能性を認識するに至った。兄妹愛の行方はおそらく「脱性愛」といって済ませられるものではなく、近親相姦の可能性をも視野に入れた、より包括的な考察が求められる。(2)については、上述の認識と連動して、ヴァイニンガーの性愛拒否、さらには「純粋な人間」として甦った女性を自分の人生の「同行者」にしたいというユートピア的願望と通じる記述がリンドナーの思考として『特性のない男』の遺稿部に見られるという事実も、別の連関で捉える必要が出てきた。リンドナーが揶揄的に造形された人物であることからも、これはヴァイニンガーの理想とした精神的愛を揶揄するものであり、その敢然たる性愛拒否を兄妹愛において別の形に転換するための予示と解釈できる。それは同時に〈遙かな愛〉の観念自体を見直す作業につながっていくだろう。
英文摘要
本研究は、従来近親相姦モティーフを軸に論じられてきたムージルの『特性のない男』研究に新たな視点を導入し、トルバドゥールに由来する〈遙かな愛〉の視点から『特性のない男』における愛の問題を解明しようとするものである。具体的には、(1)遺稿部の第二巻第39章から第52章までを文献学的手法で成立順に考察し、そこに兄妹愛における「脱性愛」と呼びうる現象が見いだせるかどうかを検討する。(2)『特性のない男』の〈遙かな愛〉をヨーロッパにおける〈遙かな愛〉の精神史的系譜に位置づけることによって、ムージルの愛の観念の独自性を析出する。(1)については、兄妹愛における「脱性愛」現象の発掘という当初の目論見を修正する必要に迫られつつある。遺稿部第45章に兄妹の濃密な肉体的接触はあるものの、これまで私は兄妹愛を性愛に収斂していくものではないと解釈してきたが、第二巻を読み直す過程で、第10章以降ウルリッヒに対するアガーテの肉体的接近が頻繁に見られることから、それが兄妹愛を性愛の方向に導いていく可能性を認識するに至った。兄妹愛の行方はおそらく「脱性愛」といって済ませられるものではなく、近親相姦の可能性をも視野に入れた、より包括的な考察が求められる。(2)については、上述の認識と連動して、ヴァイニンガーの性愛拒否、さらには「純粋な人間」として甦った女性を自分の人生の「同行者」にしたいというユートピア的願望と通じる記述がリンドナーの思考として『特性のない男』の遺稿部に見られるという事実も、別の連関で捉える必要が出てきた。リンドナーが揶揄的に造形された人物であることからも、これはヴァイニンガーの理想とした精神的愛を揶揄するものであり、その敢然たる性愛拒否を兄妹愛において別の形に転換するための予示と解釈できる。それは同時に〈遙かな愛〉の観念自体を見直す作業につながっていくだろう。
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会议论文
ヴァイニンガーの『性と性格』は女性嫌悪の書か――須藤温子『エリアス・カネッティ――生涯と著作』を読んで
韦宁格的《性与性格》是一本厌女症书——读须藤敦子的《埃利亚斯·卡内蒂——生活与作品》
DOI:
--
发表时间:
2021
期刊:
日本独文学会『ドイツ文学』
影响因子:
--
作者:
[白坂彩乃, 大川勇, 加藤靖恵, 谷川道子・谷口幸代編, 大川勇]
通讯作者:
大川勇
ヴァイニンガーの『性と性格』は女性嫌悪の書か――須藤温子『エリアス・カネッティ――生涯と著作』 を読んで
韦宁格的《性与性格》是一本厌女症书——读须藤敦子的《埃利亚斯·卡内蒂:生活与作品》
DOI:
--
发表时间:
2021
期刊:
日本独文学会『ドイツ文学』
影响因子:
--
作者:
[山口裕之, 山口裕之, 大川勇]
通讯作者:
大川勇
オット・ヴァイニンガー『性と性格』――翻訳と解題
奥托·维宁格的《性与性格》——翻译与评论
DOI:
--
发表时间:
2021
期刊:
京都大学人間・環境学研究科ドイツ語部会『ドイツ文学研究』
影响因子:
--
作者:
[白坂彩乃, 大川勇]
通讯作者:
大川勇