19世紀アメリカ小説におけるジェンダーと語りの戦略――メルヴィルを中心に
19世紀アメリカ小説におけるジェンダーと語りの戦略――メルヴィルを中心に
批准号:
19J14684
负责人:
藤原 あゆみ
金额:
$1.34万
依托单位:
依托单位国家:
日本
项目类别:
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
财政年份:
2019
资助国家:
日本
项目状态:
已结题
起止时间:
2019-04-25 至 2021-03-31
中文摘要
本年度は、これまでの課題である19世紀女性作家の語りの戦略を新たな角度から再考すべく視野を広げ、Zora Neale HurstonのTheir Eyes Were Watching Godを分析した。本作は20世紀文学ではあるが、Hurstonもまた、Richard Wrightら黒人男性作家が主流だったハーレム・ルネサンスの文壇において周縁化され、本作もテーマ性を欠いた娯楽小説と軽視されていた点で、偽名で執筆したり、大衆文化と政治性のバランスを計算しつつ執筆したりと、女性作家ならではの技巧を凝らしていたLouisa May Alcottにも重なるのではないか。この仮説を起点とし、Their Eyesの語りの手法を、主人公Janieが他者からの共感を拒む異質なヒロインであることに注目しながら分析した。主人公と他者の距離感は、不透明な語りによって主人公と読者の間にも設定されており、本研究ではこの距離感を、人種的制約を受けないJanieの究極の性愛体験の再現不可能性を示す指標として捉えた。このアプローチから、Janieが人種に優越する性愛を経て、性愛に優越する自己の生への欲求に目覚める非・黒人文学的な存在であることが確認できる。ハーレム・ルネサンスの意向に沿わないことで批判されたHurstonであるが、むしろそれこそHurstonの目指した文学であり、黒人文学と言うジャンルを越え出た読み方を促したいという彼女の希望は、不透明な語りをクライマックスで取り払い、読者とJanieを親密な距離感へと近づける唐突な語りの変調にも見てとれる。この成果はすでに初稿にまとめてあり、完成稿を来年度発行予定の日本アメリカ文学会東京支部会報に提出予定である。
英文摘要
本年度は、これまでの課題である19世紀女性作家の語りの戦略を新たな角度から再考すべく視野を広げ、Zora Neale HurstonのTheir Eyes Were Watching Godを分析した。本作は20世紀文学ではあるが、Hurstonもまた、Richard Wrightら黒人男性作家が主流だったハーレム・ルネサンスの文壇において周縁化され、本作もテーマ性を欠いた娯楽小説と軽視されていた点で、偽名で執筆したり、大衆文化と政治性のバランスを計算しつつ執筆したりと、女性作家ならではの技巧を凝らしていたLouisa May Alcottにも重なるのではないか。この仮説を起点とし、Their Eyesの語りの手法を、主人公Janieが他者からの共感を拒む異質なヒロインであることに注目しながら分析した。主人公と他者の距離感は、不透明な語りによって主人公と読者の間にも設定されており、本研究ではこの距離感を、人種的制約を受けないJanieの究極の性愛体験の再現不可能性を示す指標として捉えた。このアプローチから、Janieが人種に優越する性愛を経て、性愛に優越する自己の生への欲求に目覚める非・黒人文学的な存在であることが確認できる。ハーレム・ルネサンスの意向に沿わないことで批判されたHurstonであるが、むしろそれこそHurstonの目指した文学であり、黒人文学と言うジャンルを越え出た読み方を促したいという彼女の希望は、不透明な語りをクライマックスで取り払い、読者とJanieを親密な距離感へと近づける唐突な語りの変調にも見てとれる。この成果はすでに初稿にまとめてあり、完成稿を来年度発行予定の日本アメリカ文学会東京支部会報に提出予定である。
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