1800-30年代ロシア文学におけるコサック表象の変遷
1800-30年代ロシア文学におけるコサック表象の変遷
批准号:
19J22580
负责人:
上村 正之
金额:
$1.86万
依托单位:
依托单位国家:
日本
项目类别:
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
财政年份:
2019
资助国家:
日本
项目状态:
已结题
起止时间:
2019-04-25 至 2022-03-31
中文摘要
文学上のコサック表象について「崇高」と「ナショナリズム」という観点から研究した。崇高とナショナリズムは、通例それぞれ異なる学問分野に属する概念であるが、19世紀前半のロマン主義を特徴づけるものである。まず、エドマンド・バークやイヌマエル・カントの崇高論に依拠しつつ、「コサックもの」の代表作品であるゴーゴリの『タラス・ブーリバ』(1835/42)において、崇高という美的概念が適用可能であることを論じた。崇高は強力な力や恐怖の観念(バーク)や、超感性的な心の能力(カント)と結びついた美的概念であり、快適さや精神的弛緩をもたらす「美」と対になる概念である。但し、18世紀の崇高論では、崇高と道徳性・倫理性は対立するものではなかったが、ゴーゴリのコサックにおいては十分に正当化されない残酷さと崇高さとが共存している。さらに、コサック表象とナショナリズムがいかに結びつきうるかを研究した。イヴァン・コトリャレフスキーの『エネイーダ』(1798~)は、コサックを主題にした近代最初のウクライナ文学作品であり、ナショナルな意識を自覚するウクライナ人作家にとっての参照点であった。『エネイーダ』ではフォークロアや民族誌的な細部描写に富むものの、古典主義的な詩学や思想を継承しており、ナショナルな「敵」が存在するという意識に乏しい点が指摘できる。他方で、1830年代より活躍したゴーゴリでは、民族・宗教間の闘争の苛烈さが強調される。1842年版『タラス・ブーリバ』における主人公タラスの演説は、従来注目されることが乏しかったが、言語・文化・習俗に基づくネイションの危機を感知したナショナリストの声として解釈することができる。本作は近代に生じたナショナリズム概念と、前近代的な宗教概念が重なり合い、独特の思想や美学を形成しているといえる。
英文摘要
文学上のコサック表象について「崇高」と「ナショナリズム」という観点から研究した。崇高とナショナリズムは、通例それぞれ異なる学問分野に属する概念であるが、19世紀前半のロマン主義を特徴づけるものである。まず、エドマンド・バークやイヌマエル・カントの崇高論に依拠しつつ、「コサックもの」の代表作品であるゴーゴリの『タラス・ブーリバ』(1835/42)において、崇高という美的概念が適用可能であることを論じた。崇高は強力な力や恐怖の観念(バーク)や、超感性的な心の能力(カント)と結びついた美的概念であり、快適さや精神的弛緩をもたらす「美」と対になる概念である。但し、18世紀の崇高論では、崇高と道徳性・倫理性は対立するものではなかったが、ゴーゴリのコサックにおいては十分に正当化されない残酷さと崇高さとが共存している。さらに、コサック表象とナショナリズムがいかに結びつきうるかを研究した。イヴァン・コトリャレフスキーの『エネイーダ』(1798~)は、コサックを主題にした近代最初のウクライナ文学作品であり、ナショナルな意識を自覚するウクライナ人作家にとっての参照点であった。『エネイーダ』ではフォークロアや民族誌的な細部描写に富むものの、古典主義的な詩学や思想を継承しており、ナショナルな「敵」が存在するという意識に乏しい点が指摘できる。他方で、1830年代より活躍したゴーゴリでは、民族・宗教間の闘争の苛烈さが強調される。1842年版『タラス・ブーリバ』における主人公タラスの演説は、従来注目されることが乏しかったが、言語・文化・習俗に基づくネイションの危機を感知したナショナリストの声として解釈することができる。本作は近代に生じたナショナリズム概念と、前近代的な宗教概念が重なり合い、独特の思想や美学を形成しているといえる。
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タラス・ブーリバにおけるゴーゴリ的グロテスク
塔拉斯·布尔巴 (Taras Bulba) 中的果戈里式怪诞
DOI:
--
发表时间:
2021
期刊:
ロシア語ロシア文学研究
影响因子:
--
作者:
[田中 大, 井澤 淳, 今水 寛, 田中 大,井澤 淳,今水 寛, Масаюки Уэмура, 上村正之]
通讯作者:
上村正之
Украинские казаки на сцене 1810 х годов: "Казак-стихотворец" А. А. Шаховского и "Наталка Палтавка" И. П. Котляревского.
Украинские казаки на сцене 1810 х годов: "Казак-стихотворец" А тавка" И. П. Котляревского.
DOI:
--
发表时间:
2021
期刊:
影响因子:
--
作者:
[田中 大, 井澤 淳, 今水 寛, 田中 大,井澤 淳,今水 寛, Масаюки Уэмура, 上村正之, Масаюки Уэмура, 上村正之, 上村正之, Масаюки Уэмура]
通讯作者:
Масаюки Уэмура
『エネイーダ』から『タラス・ブーリバ』へ:詩学とナショナリズムの関係
从《埃内达》到《塔拉斯·布里巴》:诗学与民族主义的关系
DOI:
--
发表时间:
2022
期刊:
影响因子:
--
作者:
[田中 大, 井澤 淳, 今水 寛, 田中 大,井澤 淳,今水 寛, Масаюки Уэмура, 上村正之, Масаюки Уэмура, 上村正之]
通讯作者:
上村正之
『タラス・ブーリバ』におけるナショナリティと暴力の関係
塔拉斯·布尔巴的国籍与暴力的关系
DOI:
--
发表时间:
2022
期刊:
影响因子:
--
作者:
[田中 大, 井澤 淳, 今水 寛, 田中 大,井澤 淳,今水 寛, Масаюки Уэмура, 上村正之, Масаюки Уэмура, 上村正之, 上村正之]
通讯作者:
上村正之
「ゴーゴリの系図詐称とウクライナ・コサック表象」
“果戈里的家谱歪曲和乌克兰哥萨克的代表”
DOI:
--
发表时间:
2019
期刊:
影响因子:
--
作者:
[田中 大, 井澤 淳, 今水 寛, 田中 大,井澤 淳,今水 寛, Масаюки Уэмура, 上村正之, Масаюки Уэмура, 上村正之, 上村正之, Масаюки Уэмура, 上村正之]
通讯作者:
上村正之
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