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フランス中世抒情詩における「わたし」の位相

フランス中世抒情詩における「わたし」の位相
法国中世纪抒情诗中“我”的各个阶段
批准号:
01J05539
负责人:
辻部 亮子 (藤川 亮子)
金额:
$0.77万
依托单位:
依托单位国家:
日本
项目类别:
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
财政年份:
2001
资助国家:
日本
项目状态:
已结题
起止时间:
2001 至 2002

项目摘要

项目成果

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フランス中世抒情詩における詩的主体「わたし」の解明という研究目的において、本年度は、13世紀から始まる抒情詩の物語化という現象に着目し、その先駆的作品であるジャン・ルナールの『ギヨーム・ド・ドール物語』を特に詳細に分析した。この作品は、「賭けのテーマ」という既存の物語の中に、当時流布していた抒情詩46編のテクストをそのまま引用することによって、互いに外在するふたつの文学的題材の調和を図る。この調和を読者に読み取らせるために設けられたいくつかの装置から、好情詩の「わたし」の3つの特性が析出された。第一に、抒情詩は登場人物のせりふとして組み込まれることによって、レシが描ききれない登場人物の心理を描出する補助装置として認識される。ここでは、読者は登場人物への感情移入を通じて自らの主観性を抒情詩の「わたし」に同一化する。このとき抒情詩の「わたし」はその抽象性に読者の個人性を受け入れるという機能を果たし、「寛容なわたし」と定義される。第二に、抒情詩が展開するテクスト世界がそのまま場面に敷衍され、レシと抒情詩とが鏡のように対置される場面が散見される。これは、抒情詩の記号性をその歌い手に付与し、作品の雰囲気を決定する役割を担う。抒情詩の「わたし」は、読者の感情体験に基づいた自由な作品解釈を許容しない代わりに、既知の詩的コードでレシを読み解かせるという作品受容の知的喜びを提供するものであり、「権威的なわたし」ということができる。最後に、作中人物の心理にも符合することなく記号作用も見出せず、ランダムに挿入されてさまざまな機能を果たす抒情詩の存在によって、受容の文脈から独立しうる「わたし」の一面が浮上する。これらの成果は、ミシェル・ザンクの「間主観性」理論の多義性を明らかにするものとして中世抒情詩研究史に位置づけられ、論文にまとめられた。
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