リン酸によるタンパク質の老化促進の可能性に関する計算化学的研究
リン酸によるタンパク質の老化促進の可能性に関する計算化学的研究
批准号:
22K12268
负责人:
高橋 央宜
金额:
$2.66万
依托单位:
依托单位国家:
日本
项目类别:
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
财政年份:
2022
资助国家:
日本
项目状态:
未结题
起止时间:
2022-04-01 至 2025-03-31
中文摘要
長寿命のタンパク質中における自発的な非酵素反応は,いわばタンパク質の老化をもたらし,老化や加齢性疾患の一因であると考えられる。そのため,その詳しいメカニズムが明らかになれば,健康長寿実現への一つの手掛かりが得られると期待される。本研究では,無機リン酸がそのような非酵素反応の触媒として働く可能性を,計算化学により検討することを目的としている。2022年度は,アスパラギン酸・アスパラギン残基から非酵素的に生成するスクシンイミド中間体のラセミ化の計算に適した方法を検討した。そのために,5-フェニルヒダントインのリン酸水素イオン触媒によるラセミ化の機構について検討した。この化合物はスクシンイミドと類似の構造をもち,リン酸バッファ中における詳しい速度論的研究が報告されているからである。特に,触媒として働くのはリン酸水素イオンであることが明確に示されている。また,重水素化環境ではラセミ化速度が重水素化速度より大きくなることから,エノラートイオン中間体を経由する反応機構(SE1機構)ではなく,エノラートイオン中間体を経由しないSE2機構が提案された。しかし,SE2機構は他に例がなく,疑問視されている。プロトンを引き抜く触媒としてリン酸水素イオンを配置した密度汎関数法計算から,エノラートイオンは容易に生成することが示された。そこで,エノラートイオンにプロトンを供与する化学種として水分子も配置した計算を試みた結果,実験による活性化エネルギーをよく再現できる新規な機構が見出された。この機構では,エノラートイオン中間体の平面の片側がリン酸二水素イオンにより塞がれたままで,逆側にある水分子がプロトンを供与する。このため,重水が用いられた場合,重水素化は必ず立体反転を伴うこととなり,実験結果を説明できる。この新規な反応機構は,「非対称SE1機構」または「擬SE2機構」とよぶことができる。
英文摘要
長寿命のタンパク質中における自発的な非酵素反応は,いわばタンパク質の老化をもたらし,老化や加齢性疾患の一因であると考えられる。そのため,その詳しいメカニズムが明らかになれば,健康長寿実現への一つの手掛かりが得られると期待される。本研究では,無機リン酸がそのような非酵素反応の触媒として働く可能性を,計算化学により検討することを目的としている。2022年度は,アスパラギン酸・アスパラギン残基から非酵素的に生成するスクシンイミド中間体のラセミ化の計算に適した方法を検討した。そのために,5-フェニルヒダントインのリン酸水素イオン触媒によるラセミ化の機構について検討した。この化合物はスクシンイミドと類似の構造をもち,リン酸バッファ中における詳しい速度論的研究が報告されているからである。特に,触媒として働くのはリン酸水素イオンであることが明確に示されている。また,重水素化環境ではラセミ化速度が重水素化速度より大きくなることから,エノラートイオン中間体を経由する反応機構(SE1機構)ではなく,エノラートイオン中間体を経由しないSE2機構が提案された。しかし,SE2機構は他に例がなく,疑問視されている。プロトンを引き抜く触媒としてリン酸水素イオンを配置した密度汎関数法計算から,エノラートイオンは容易に生成することが示された。そこで,エノラートイオンにプロトンを供与する化学種として水分子も配置した計算を試みた結果,実験による活性化エネルギーをよく再現できる新規な機構が見出された。この機構では,エノラートイオン中間体の平面の片側がリン酸二水素イオンにより塞がれたままで,逆側にある水分子がプロトンを供与する。このため,重水が用いられた場合,重水素化は必ず立体反転を伴うこととなり,実験結果を説明できる。この新規な反応機構は,「非対称SE1機構」または「擬SE2機構」とよぶことができる。
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会议论文
リン酸バッファ中における5-フェニルヒダントインのラセミ化機構:DFT計算による再検討
5-苯乙内酰脲在磷酸盐缓冲液中的外消旋机制:使用 DFT 计算重新检查
DOI:
--
发表时间:
2023
期刊:
影响因子:
--
作者:
[Sugano Aki, Takaoka Yutaka, Kataguchi Haruyuki, Ohta Mika, Kimura Shigemi, Araki Masatake, Morinaga Yoshitomo, Yamamoto Yoshihiro, Kiyoko F. Aoki-Kinoshita, 高橋央宜]
通讯作者:
高橋央宜