腕足動物の化学組成を用いた新たな古炭酸系指標の開発~海洋の全炭酸系解読に向けて~
腕足動物の化学組成を用いた新たな古炭酸系指標の開発~海洋の全炭酸系解読に向けて~
批准号:
20J22819
负责人:
西尾 拓哉
金额:
$1.98万
依托单位:
依托单位国家:
日本
项目类别:
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
财政年份:
2020
资助国家:
日本
项目状态:
已结题
起止时间:
2020-04-24 至 2023-03-31
中文摘要
研究内容の概要を以下に記す.岩手県大槌湾で採取された腕足動物Terebratulina crosseiについて,あらかじめ酸素同位体組成より予測した周囲の海水の最暖月と最寒月に相当する部位から採取したサンプルのδ11Bと微量元素濃度(B,Mg,Al,Mn,Fe,Sr,Ba)を測定した.当初の予想では,夏と冬で石灰化部位(腕足動物が石灰化しているスペース)のpHが異なるのではないかと考えていたが,夏と冬それぞれに相当する部位において石灰化部位のpHを反映していると考えられるd11Bには有意な差が見られなかった.また,琉球列島周辺で採取された腕足動物Basiliola lucidaにおいて異なる深度で採取したサンプルのδ13C,δ18O,δ11Bと微量元素濃度(B,Mg,Al,Mn,Fe,Sr,Ba)を測定した.δ11Bの結果は深度が深くなるにつれて値が小さくなる傾向を示し,これは深度が深くなるにつれて,周囲の海水pHが低下していることを反映している可能性があることを示した.これらの結果を踏まえると,腕足動物殻のδ11Bの海洋pH計としての有用性についてはまだ検討の余地を残している.一方で,殻のB/CaとSr/Caの間には,種や個体を問わず強い正の相関関係が観察された.これまでの研究において,殻のSr/Caとd13Cとの間には有意な負の相関関係があり,その変動の位相がよく一致していることを踏まえると,このB/CaとSr/Caの間の関係は腕足動物の石灰化サイト内の炭酸系の変化を表しているかもしれない.今後は,殻のB/CaやSr/Ca比と炭酸イオン濃度との関係を検討し,前者の古環境指標としての有用性を評価する.最終的には得られた現生試料における知見を統合し,更新世の化石腕足動物殻を用いて過去の表層~中層水の炭酸系を精度・確度高く復元できる手法へと応用することを目指す.
英文摘要
研究内容の概要を以下に記す.岩手県大槌湾で採取された腕足動物Terebratulina crosseiについて,あらかじめ酸素同位体組成より予測した周囲の海水の最暖月と最寒月に相当する部位から採取したサンプルのδ11Bと微量元素濃度(B,Mg,Al,Mn,Fe,Sr,Ba)を測定した.当初の予想では,夏と冬で石灰化部位(腕足動物が石灰化しているスペース)のpHが異なるのではないかと考えていたが,夏と冬それぞれに相当する部位において石灰化部位のpHを反映していると考えられるd11Bには有意な差が見られなかった.また,琉球列島周辺で採取された腕足動物Basiliola lucidaにおいて異なる深度で採取したサンプルのδ13C,δ18O,δ11Bと微量元素濃度(B,Mg,Al,Mn,Fe,Sr,Ba)を測定した.δ11Bの結果は深度が深くなるにつれて値が小さくなる傾向を示し,これは深度が深くなるにつれて,周囲の海水pHが低下していることを反映している可能性があることを示した.これらの結果を踏まえると,腕足動物殻のδ11Bの海洋pH計としての有用性についてはまだ検討の余地を残している.一方で,殻のB/CaとSr/Caの間には,種や個体を問わず強い正の相関関係が観察された.これまでの研究において,殻のSr/Caとd13Cとの間には有意な負の相関関係があり,その変動の位相がよく一致していることを踏まえると,このB/CaとSr/Caの間の関係は腕足動物の石灰化サイト内の炭酸系の変化を表しているかもしれない.今後は,殻のB/CaやSr/Ca比と炭酸イオン濃度との関係を検討し,前者の古環境指標としての有用性を評価する.最終的には得られた現生試料における知見を統合し,更新世の化石腕足動物殻を用いて過去の表層~中層水の炭酸系を精度・確度高く復元できる手法へと応用することを目指す.
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