心のデータベースとしての歌ことば -中世和歌における本歌取り意識の基盤と射程-
心のデータベースとしての歌ことば -中世和歌における本歌取り意識の基盤と射程-
批准号:
11J01022
负责人:
土田 耕督
金额:
$0.51万
依托单位:
依托单位国家:
日本
项目类别:
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
财政年份:
2011
资助国家:
日本
项目状态:
已结题
起止时间:
2011 至 2012
中文摘要
本年度の研究として、新古今時代から南北朝時代までの中世和歌における古歌再利用意識の展開を、各時代の歌論・歌学書の分析を通じて跡づけた。今日、「本歌取」は、過去の作品を何らかのかたちで再利用する行為を包括する用語となっている。先行研究において、それは例外なく、藤原俊成・定家父子によって新古今時代に確立されたとされ、特に定家は、古歌の世界を下敷きとし、そこに独自のイメージを詠み重ねる、至高の「本歌取」を完成させたといわれる。しかし、「本歌取」という語のルーツとなっていると考えられる「本歌を取る」をいう語を、実際は俊成も定家も用いていない。定家の「本歌取」を、イメージの重層性、すなわち「心」の再利用と捉え、それにもっとも高い価値が認めたのは、十四世紀半ばの歌壇において指導的立場にあった歌僧頓阿の『井蛙抄』『愚問賢注』がはじめてであった。新古今時代において、古歌再利用をあらわすものとしてより一般的であったのは、「古歌を取る」という語である。「古歌取」とも呼ぶべきこの方法は、古歌の詞をそのまま取り込みながらも、古歌の主題を変えるような詠み方を指し、他ならぬ定家も、『詠歌大概』において言及している。「古歌取」を積極的に推進したのが、定家の跡継ぎである藤原為家であった。今日、為家以降、中世和歌は衰退の一途を辿った、とよくいわれるが、「本歌取」ではなく「古歌取」に価値創出の可能性が見出されているという事実から、中世和歌の、これまで明らかにされてこなかった本質、ひいては芸術学的射程を導き出すことができる。すなわち、蓄積されてきた古歌の詞が詠歌のための検索用「データベース」として見なされ、歌人はその中を漂う詞の配列を新たに発見し、それをフィードバックしながら、集合体としての和歌に参加している、ということである。主題を踏襲しながら古歌の詞を用いる「本歌取」(カヴァー)のためには、古歌の世界が完全なかたちで共有されていなければならない。また方法論的に、「本歌取」した歌をさらに「本歌取」することの意義は希少であり、「データベース」は一次的利用にとどまる。他方、主題は問わず、詞のみを再構成する「古歌取」(リミックス)によって、詞には新たな属性が加わっていき、総体としての「データベース」の境界線、すなわち世界の表現は拡張されていく。この意味で、為家が「古歌取」を選択したのは、中世和歌における古歌再利用意識の不可逆的な<展開>だったのではないか、と結論づけられる。
英文摘要
本年度の研究として、新古今時代から南北朝時代までの中世和歌における古歌再利用意識の展開を、各時代の歌論・歌学書の分析を通じて跡づけた。今日、「本歌取」は、過去の作品を何らかのかたちで再利用する行為を包括する用語となっている。先行研究において、それは例外なく、藤原俊成・定家父子によって新古今時代に確立されたとされ、特に定家は、古歌の世界を下敷きとし、そこに独自のイメージを詠み重ねる、至高の「本歌取」を完成させたといわれる。しかし、「本歌取」という語のルーツとなっていると考えられる「本歌を取る」をいう語を、実際は俊成も定家も用いていない。定家の「本歌取」を、イメージの重層性、すなわち「心」の再利用と捉え、それにもっとも高い価値が認めたのは、十四世紀半ばの歌壇において指導的立場にあった歌僧頓阿の『井蛙抄』『愚問賢注』がはじめてであった。新古今時代において、古歌再利用をあらわすものとしてより一般的であったのは、「古歌を取る」という語である。「古歌取」とも呼ぶべきこの方法は、古歌の詞をそのまま取り込みながらも、古歌の主題を変えるような詠み方を指し、他ならぬ定家も、『詠歌大概』において言及している。「古歌取」を積極的に推進したのが、定家の跡継ぎである藤原為家であった。今日、為家以降、中世和歌は衰退の一途を辿った、とよくいわれるが、「本歌取」ではなく「古歌取」に価値創出の可能性が見出されているという事実から、中世和歌の、これまで明らかにされてこなかった本質、ひいては芸術学的射程を導き出すことができる。すなわち、蓄積されてきた古歌の詞が詠歌のための検索用「データベース」として見なされ、歌人はその中を漂う詞の配列を新たに発見し、それをフィードバックしながら、集合体としての和歌に参加している、ということである。主題を踏襲しながら古歌の詞を用いる「本歌取」(カヴァー)のためには、古歌の世界が完全なかたちで共有されていなければならない。また方法論的に、「本歌取」した歌をさらに「本歌取」することの意義は希少であり、「データベース」は一次的利用にとどまる。他方、主題は問わず、詞のみを再構成する「古歌取」(リミックス)によって、詞には新たな属性が加わっていき、総体としての「データベース」の境界線、すなわち世界の表現は拡張されていく。この意味で、為家が「古歌取」を選択したのは、中世和歌における古歌再利用意識の不可逆的な<展開>だったのではないか、と結論づけられる。
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Newness' Created by the Shared Past : The Formation of a Quotation Database in Medieval Waka
共同的过去创造的新奇:中世纪瓦卡语录数据库的形成
DOI:
--
发表时间:
2012
期刊:
Kreativitat des Findens-Figurationen des Zitats
影响因子:
--
作者:
[HIRAKO, Tatsuya, 平子達也, 土田耕督, 土田耕督, Kosuke Tsuchida]
通讯作者:
Kosuke Tsuchida
中世卻歌における「本歌取」的方法の実相-新古今時代の言説と実践を中心として
中世纪诗歌“honkatori”方法的现实——聚焦新古近代的话语与实践
DOI:
--
发表时间:
2013
期刊:
影响因子:
--
作者:
[HIRAKO, Tatsuya, 平子達也, 土田耕督, 土田耕督, Kosuke Tsuchida, Kosuke Tsuchida, 土田耕督]
通讯作者:
土田耕督
Names of Tea Utensils as a Silent Language in Chanoyu : Kobori Enshu's Way of Tea with Named Utensils
茶汤中无声语言的茶具名称:小堀远州的具名茶道
DOI:
--
发表时间:
2012
期刊:
影响因子:
--
作者:
[HIRAKO, Tatsuya, 平子達也, 土田耕督, 土田耕督, Kosuke Tsuchida, Kosuke Tsuchida, 土田耕督, Kosuke Tsuchida]
通讯作者:
Kosuke Tsuchida
再構成される〈詞〉と拡張される〈心〉-藤原為家の歌論と実践に見る「古歌」再利用意識-
重构“歌词”,拓展“心”——从藤原为家的诗歌理论与实践中看重“老歌”的意识——
DOI:
--
发表时间:
2013
期刊:
大阪大学文学会 : 編『待兼山論叢』(美学篇)
影响因子:
--
作者:
[HIRAKO, Tatsuya, 平子達也, 土田耕督]
通讯作者:
土田耕督
記号性の操作としてのデザイン-小堀遠州の茶の湯における和歌銘の機能をめぐって-
设计作为象征性的操纵:论和歌明在小堀远州茶道中的功能
DOI:
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发表时间:
2013
期刊:
「頭脳循環を加速する若手研究者挑戦的海外派遣プログラム」報告書
影响因子:
--
作者:
[HIRAKO, Tatsuya, 平子達也, 土田耕督, 土田耕督]
通讯作者:
土田耕督
共 6 条
リミックスされる〈記憶〉-中世連歌における過去再利用意識の深化とその芸術学的意義
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批准号:14J10267
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项目类别:Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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资助金额:$1.83万
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财政年份:2014
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负责人:土田 耕督
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依托单位: