帝国日本の理念外交-戦前・戦時期の太平洋問題調査会(1925-1945)を中心に
帝国日本の理念外交-戦前・戦時期の太平洋問題調査会(1925-1945)を中心に
批准号:
07J09061
负责人:
三牧 聖子
金额:
$1.22万
依托单位:
依托单位国家:
日本
项目类别:
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
财政年份:
2007
资助国家:
日本
项目状态:
已结题
起止时间:
2007 至 2008
中文摘要
本研究は、戦間期太平洋問題調査会の歴史的展開とその思想的意義の考察である。本年度は研究成果を総括し、11月に九州大学で開催されたアジア市民社会公開シンポジウムで、12月に神戸大学日本政治外交史研究会で報告を行った。前者の報告は、アジア市民社会の形成という現代的課題に照らしたとき、IPRの歴史的軌跡は何を示唆しているのかを探ったものである。一般に地域連帯という課題は、いかにナショナリズムを克服していくかという課題と同一視される。従来のIPR研究も、狭隘なナショナリズムの克服というIPRの理念を高く評価し、協調的に討議が進められた1920年代のIPRにその理念の具現化を見出し、従属地域が虐げられてきたナショナリズムの充足を求め、欧米諸国と対立していった1930年代以降のIPRを否定的に評価してきた。これに対し本報告は、1930年代以降のIPRを、従属地域代表が、従属地域のナショナリズムを抑圧した上に成り立っていた「地域連帯」を批判的に問い直し、水平的な地域連帯を求めていく過程として意義付け直した。後者の報告では、日本IPRの「理念外交」の展開とその限界を考察した。IPR発足当時から日本代表は移民問題に関して積極的に発言し、参加諸国間に移民排斥、特に人種を理由とした排斥の不当性に関するコンセンサスを形成していった。1930年代以降、日本IPRは国際社会とのほぼ唯一の窓口となったIPR大会で、一方で満州事変の正当性を擁護しながら、他方で不公正な国際秩序を平和的な手続きによって変更する仕組みを強化する必要を訴え、各国の原則的賛同を得た。日本IPRの試みは、戦間期日本外交が、武力による暴力的な現状変更とも、矛盾を孕んだ既存秩序への消極的順応とも異なる、自らの苦境を普遍的な理念で表現し、平和的に現状の改編を求めていく第三のモメントを持っていたことを示すとともに、具体的な外交案件に没頭し、明確な国際秩序のヴィジョンを持たない「無思想の外交」(入江昭、1966年)とされてきた近代日本外交全般の再評価を促すものである。しかし本報告のもう一つの強調点は、日本IPRの「理念外交」が、日本自身の「帝国」性によって大きく制約されたことにあった。すなわち日本は、一方で移民の自由やより開放的な経済秩序が実現された新秩序を求めながら、他方で既存帝国主義の温存を強固に主張し、中国や朝鮮をはじめとする従属地域との距離を肥大化させていったのである。日本IPRの「帝国」と「理念外交」という二面性は、戦間期日本が抱えた根本的矛盾を端的に表している。
英文摘要
本研究は、戦間期太平洋問題調査会の歴史的展開とその思想的意義の考察である。本年度は研究成果を総括し、11月に九州大学で開催されたアジア市民社会公開シンポジウムで、12月に神戸大学日本政治外交史研究会で報告を行った。前者の報告は、アジア市民社会の形成という現代的課題に照らしたとき、IPRの歴史的軌跡は何を示唆しているのかを探ったものである。一般に地域連帯という課題は、いかにナショナリズムを克服していくかという課題と同一視される。従来のIPR研究も、狭隘なナショナリズムの克服というIPRの理念を高く評価し、協調的に討議が進められた1920年代のIPRにその理念の具現化を見出し、従属地域が虐げられてきたナショナリズムの充足を求め、欧米諸国と対立していった1930年代以降のIPRを否定的に評価してきた。これに対し本報告は、1930年代以降のIPRを、従属地域代表が、従属地域のナショナリズムを抑圧した上に成り立っていた「地域連帯」を批判的に問い直し、水平的な地域連帯を求めていく過程として意義付け直した。後者の報告では、日本IPRの「理念外交」の展開とその限界を考察した。IPR発足当時から日本代表は移民問題に関して積極的に発言し、参加諸国間に移民排斥、特に人種を理由とした排斥の不当性に関するコンセンサスを形成していった。1930年代以降、日本IPRは国際社会とのほぼ唯一の窓口となったIPR大会で、一方で満州事変の正当性を擁護しながら、他方で不公正な国際秩序を平和的な手続きによって変更する仕組みを強化する必要を訴え、各国の原則的賛同を得た。日本IPRの試みは、戦間期日本外交が、武力による暴力的な現状変更とも、矛盾を孕んだ既存秩序への消極的順応とも異なる、自らの苦境を普遍的な理念で表現し、平和的に現状の改編を求めていく第三のモメントを持っていたことを示すとともに、具体的な外交案件に没頭し、明確な国際秩序のヴィジョンを持たない「無思想の外交」(入江昭、1966年)とされてきた近代日本外交全般の再評価を促すものである。しかし本報告のもう一つの強調点は、日本IPRの「理念外交」が、日本自身の「帝国」性によって大きく制約されたことにあった。すなわち日本は、一方で移民の自由やより開放的な経済秩序が実現された新秩序を求めながら、他方で既存帝国主義の温存を強固に主張し、中国や朝鮮をはじめとする従属地域との距離を肥大化させていったのである。日本IPRの「帝国」と「理念外交」という二面性は、戦間期日本が抱えた根本的矛盾を端的に表している。
期刊论文(0)
专著(0)
科研奖励(0)
会议论文
登录
查看更多内容
リベラリスト石橋湛山の「リアリズム」-リベラルな政治闘争-
自由主义者石桥谈山的“现实主义”-自由主义政治斗争-
DOI:
--
发表时间:
2008
期刊:
日本国際政治学会編『国際政治』 152
影响因子:
--
作者:
[Hayato Kobayashi, Tsugutoyo Osaki, Tetsuro Okuyama, Akira Ishino, Ayumi Shinohara, 小林隼人, 小林隼人, 長倉 隆徳, 長倉 隆徳, 三牧聖子, 三牧聖子, 三牧 聖子]
通讯作者:
三牧 聖子
『アメリカニズム』とアジア・ナショナリズム-冷戦期現実主義者の『思想戦』批判から
“美国主义”与亚洲民族主义:对冷战现实主义者“意识形态战争”的批判
DOI:
--
发表时间:
2008
期刊:
影响因子:
--
作者:
[Hayato Kobayashi, Tsugutoyo Osaki, Tetsuro Okuyama, Akira Ishino, Ayumi Shinohara, 小林隼人, 小林隼人, 長倉 隆徳, 長倉 隆徳, 三牧聖子, 三牧聖子, 三牧 聖子, 三牧 聖子, 三牧 聖子, 三牧聖子, 三牧聖子, 三牧聖子]
通讯作者:
三牧聖子
『アメリカ的平和』の世界化を目指して-戦間期アメリカの戦争違法化運動
以“美国和平”的全球化为目标——两次世界大战之间的美国将战争定为犯罪的运动
DOI:
--
发表时间:
2009
期刊:
アメリカ学会『アメリカ研究』 43
影响因子:
--
作者:
[Hayato Kobayashi, Tsugutoyo Osaki, Tetsuro Okuyama, Akira Ishino, Ayumi Shinohara, 小林隼人, 小林隼人, 長倉 隆徳, 長倉 隆徳, 三牧聖子, 三牧聖子]
通讯作者:
三牧聖子
アメリカ的「多国間主義」を超えて-冷戦初期リアリストの世界政府論批判
超越美国式的“多边主义”:冷战初期现实主义者对世界政府理论的批判
DOI:
--
发表时间:
2008
期刊:
杉田米行編『アメリカ外交の分析-歴史的展開と現状分析』 大学教育出版
影响因子:
--
作者:
[Hayato Kobayashi, Tsugutoyo Osaki, Tetsuro Okuyama, Akira Ishino, Ayumi Shinohara, 小林隼人, 小林隼人, 長倉 隆徳, 長倉 隆徳, 三牧聖子, 三牧聖子, 三牧 聖子, 三牧 聖子]
通讯作者:
三牧 聖子
アジア市民社会形成におけるナショナリズム要因-欧米トランスナショナリズムとの対抗関係から
亚洲公民社会形成中的民族主义因素:与西方跨国主义竞争的视角
DOI:
--
发表时间:
2009
期刊:
九州大学法政学会『法政研究』 75(4)
影响因子:
--
作者:
[Hayato Kobayashi, Tsugutoyo Osaki, Tetsuro Okuyama, Akira Ishino, Ayumi Shinohara, 小林隼人, 小林隼人, 長倉 隆徳, 長倉 隆徳, 三牧聖子]
通讯作者:
三牧聖子
共 9 条
Reinvigorating Liberal Internationalism-Legacy of Woodrow Wilson Revisited
-
批准号:18K12725
-
项目类别:Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
-
资助金额:$2.58万
-
财政年份:2018
-
负责人:三牧 聖子
-
依托单位:
イデオロギー対立を超えたアジア太平洋地域協力-その先駆としての太平洋問題調査会
-
批准号:12J08068
-
项目类别:Grant-in-Aid for JSPS Fellows
-
资助金额:$1.48万
-
财政年份:2012
-
负责人:三牧 聖子
-
依托单位:
海外基金